世界が認めた中国産ワインを堪能する #4『贺兰红 Helanhong』
2018年の9月、寧夏回族自治区の銀川市にて同自治区の成立60周年が盛大に祝われましたが、その際に寧夏回族自治区成立60周年オフィシャルワインとして指定されたのが、ワイナリー「贺金樽酒庄 Hejinzun Winery」が手がける『贺兰红 Helanhong』。ワインのラベル上にも、そのことを称える「60」のシールが貼られています。
今回は、銀川市の賀蘭山 (贺兰山) で生産されたワイン『贺兰红 (賀蘭紅) Helanhong』を実際に購入して飲んでみましたので、その詳細をこちらで紹介させていただきます。
カベルネ独特のしつこさもなく、非常に飲みやすい『贺兰红 Helanhong』
このワインは「贺兰红」という名前のワインですが、同じ賀蘭山 (贺兰山) にあるワイナリー「西鸽酒庄 XIGE ESTATE」等でも同じ名前のワインが生産されているようで、その中でも今回ボクが購入したのは「金樽酒庄 Hejinzun Winery」が生産する贺兰红 (賀蘭紅)。
カベルネソーヴィニヨン (Cabernet Sauvignon) が95%、マルセラン (Marselan) が5%の割合でブレンドされています。中国でマルセランなんて珍しいなと思い調べてみたら、60年前にフランスでカベルネソーヴィニヨンとグルナッシュが交配されて生まれたこのブドウ品種は2001年に中国に持ち込まれました。最初は2.75ヘクタールしか栽培されていなかったものが、今は260ヘクタールを超える栽培面積を誇り、世界では地味な存在のブドウ品種ながら中国では「スター品種になり得る存在」であることがワインの世界的権威「Decater」の記事で紹介されています。
ちなみに、カベルネソーヴィニヨンは中国語で【赤霞珠 [chì xiá zhū] チィシャアジュー】、マルセランは【马瑟兰 [mǎ sè lán] マァスゥラン】と呼ばれていますが、ボクには “チィシャアジュー” なんて音、なかなか覚えられないっす。。
さて、実際にワインを口にしてみての最初の感想は「あぁ、カベルネだなぁ」というものでした。が、カベルネ独特の「しつこさ」というか変な「残り香」がなくて、飲んだ後はどこかメルローを思わせるような爽快感を覚えました。特にクセもなく、非常に飲みやすいです。主張しすぎない、優等生カベルネソーヴィニヨン、といったところでしょうか。カベルネソーヴィニヨンのしつこさが得意でない人にも飲みやすいテイストです。ただ、大きな特徴もないので、逆に「パンチに少しかけるかも」と思う人もいるかもしれません。
ラベルの裏には「Deep, dark red in colour with a hint of purple. Aromas of black berries, black plums overlaid with savoury cigar box, vanilla and chocolate. The palate is full-bodied, smooth and supple, finishing long with fine structure and soft powdery tannin.」と書かれていますが、飲み終えた後の「finishing long with fine structure and soft powdery tannin」には確かに納得です。
IWSCから大金賞を受賞し、NY国連本部のレストラン指定ワインにも選ばれる実力派
この贺兰红 (Helanhong) が受賞している中でまず目立つのが、2019年度「”一带一路”国际葡萄酒大赛 (Belt and Road International Wine and Spirit Competition)」での「大金奖 (Large Prime Gold)」受賞です (参考)。
このコンペティションでは中国、エジプト、ロシア、イスラエルを含む17カ国で生産された915種類のワインがリストアップされ (参考)、贺兰红は最高賞である「大金奖」22本のうちの1本に選ばれています。また、Decanterのサイトでは87ポイントを獲得し、Bronze賞に輝いています (参考)。
その他に面白いところでは、ニューヨークにある国連本部の中にあるレストラン「Delegates Dining Room」で提供される、2019年レストラン指定のワインに選ばれました (参考)。中米間の微妙な関係がある中 (ウラでは人に言えないようなことも起こってるかもしれませんが・・・)、これはなかなか名誉なことでしょう。
ワイナリー「贺金樽酒庄 Hejinzun Winery」
今回購入した贺兰红 (賀蘭紅) は敷地面積2万亩 (≒1333ヘクタール、東京ドーム285個分) を誇る「賀金樽酒庄 (贺金樽酒庄) Hejinzun Winery」というワイナリーで生産されています。中国の著名なワインサイト「读醉」の記事によると、賀金樽酒庄は2013年から生産を始め、扱う葡萄品種はカベルネソーヴィニヨン (赤霞珠)、マルセラン (马瑟兰) の他にシャルドネ (霞多丽)、メルロー (美乐) も含まれています。
2017年には41軒の葡萄園との統合を成功させ、今では年間生産量300万瓶を誇るまでになっていますが、敷地内にはまだ現在の倍ほどの苗を植えられる用地が残されているようなので、今後の更なる成長に期待です。
★住所:宁夏银川市贺兰县金山国际葡萄产业试验区34号地【MAP】
まとめ
今回購入した贺兰红は淘宝 Taobaoで購入しても200元以下 (約3000円) というリーズナブルなお値段でとても飲みやすく、家で肉料理を食べる際に飲みたいと思う、普段使いにピッタリの赤ワインでした。
ワインサイト「读醉」等を見ると、ワイナリー自体は正直なところあまりモダンな感じには見えずボクの好みではあまりないんですが、、周りの環境も合わせ、立地的に興味深いと思ったので、次回銀川に行くチャンスがあれば、一度訪れてみたいと思います。
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