諸葛亮が躍動する映画『レッドクリフ』の舞台、「赤壁」は⋯ (涙)

三国志を語るうえで絶対に外せない決戦の地、「赤壁」。諸葛亮孔明の計らいによって劉備軍と孫権軍がタッグを組み、強大な曹操軍を打ち破ったのがここ赤壁で、金城武らが主演し大ヒットを記録した映画『レッドクリフ』の舞台そのものです。

三国志ファンを自認するボクもいつかは行きたいと思っていましたが、週末に代休をくっつけて赤壁訪問をこのたび実現させました。そして、今回は赤壁に加え、こちらもまた三国ファンに馴染み深い街「荊州」も一緒に訪れてきました。というわけで今回はまず、赤壁訪問時の様子をここでご紹介いたします。

長江沿いの「赤壁古戦場」へ向かうも、アクセス悪し!!!

上海の南西に位置する湖北省にある「赤壁」ですが、中国国内のどの大都市からもアクセスは決して良くはなく、、省都の武汉 (武漢) から高铁 (新幹線) で約1時間、もしくは、車だと2時間弱の距離に位置しています。

高铁 (新幹線)「赤壁北」駅前の様子

しかも、赤壁のメインの見どころである「赤壁古战场 (赤壁古戦場)」は赤壁市中心からまだ車で50分の距離、長江沿いのエリアにあるため、ある程度時間に余裕を持ってスケジュールを組む必要があります。

「三国大道」が見えたら、間もなく赤壁古戦場!

そして、ここに行こうと考えている方は、結構な田舎なので気をつけてください! 赤壁古戦場すぐ周辺は小さな商店がちらほらある程度なので、期待は禁物。あらかじめ武漢か赤壁の市内で買い物を済ませておいた方が賢明です。とは言え、赤壁の市内中心地では、ワイン1本買うのにも苦労しましたが。。。(笑)

「赤壁古戦場」は、良くも悪くも「三国志テーマパーク」(泣)

赤壁観光のハイライト、ここ赤壁古戦場は「国家重点文化保护单位」として、中国政府から最高の「国家AAAAA级旅游景区」としての指定を受けています。しかしですね、訪問後の感想からまずお伝えすると、大衆受けを狙いに狙った「ザ・観光地」となっていて、三国志ファンにはとても残念な場所でした、、(泣)

想像よりも結構な苦労をしてたどり着いたにも関わらず、歴史の重みや風情なんてものはほとんど感じられず、なんか言うか、「子供騙しのテーマパーク」です。とは言え、実際に行ってみないとわかりませんし、長江沿いの崖に書かれた「赤壁」の文字を実際に見るまでは中国を離れられませんからねぇぇ。。

と、いきなりのローテンションで申し訳ないのですが、そんな赤壁古戦場テーマパークの詳細を、いくつかのポイントに絞って以下でご紹介します。

チケット買うなら「前売りチケット」が断然お得!

今回、そもそも赤壁に行く前日の夜に「明日から赤壁に行こう!」と突然決めたので、ほとんど何も調べずに現地に着いたのですが、その場に着いてから「前売りチケットの方が断然お得!」ということを知ったのでした。。

ボクが行った時は大人チケット通常価格135元のところ、一日前までに「大众点评」等のAPPで予約をすれば105元の割引チケットを購入可能です。また、「前売り2人用」のチケットだと2人で135元なので、実質半額になるほどの大判振る舞いです!(※旅行時期によって大きく変動するので、各自でご確認ください)

ボクは今回、スケジュールや天気の関係上、普通に通常価格のチケットを購入して入場しました。ま、仕方ないす。その日は15時に入場しましたが、最終入場可能時間が17:30だったので、時間的にも問題ないだろう、という判断でした。

入口から入ってすぐの「神武台」から、関帝廟へ

入場ゲートを入ってすぐにお出迎えしてくれるのが「神武台」。長さ26m、奥行き8m、高さ12mの巨大なステージで、ここは赤壁の戦いの際に呉の周瑜が軍事指揮を執った場所 (をイメージして作られたもの)。なんか見るからに凄そうなので (?)、三国志ファンとも思えない (声のでかい) オバサマたちが (おそらく) これが何がなんやらよく知らないまま記念撮影をしていました。

そこから「順路」のサインをたどって左手にある階段を登っていくと、なぜかトランスフォーマーばりの「ロボット関羽」が暖かく (はないけども、、?) 観光客を迎えてくれます。何がゆえ、時代錯誤な像をわざわざ園内の序盤エリアに設置したのか、理解に苦しむところ。。

そこからさらに階段を登っていくと、今度は関羽が祀られた、由緒正しい感じに仕上がっている「財神殿」へ。ここは写真を撮ったら注意されるほどの聖なる場所になっているようです。敢えて新旧の関羽を対比して見せることによって、中国4000年の歴史の偉大さをアピールしたいのでしょうか!?

なんとも言えない「龐統」の太極拳演劇ショー!?

その後も、階段ばかりの道を200-300mほど歩き続け、やがて少し開けたスポットに到着。すると、「諸葛亮」と並ぶ蜀の伝説的な軍師「龐統」による演劇ショーがすぐに始まりました。

音が割れるほどの大音量の音楽がスピーカーから流され、その音に合わせてセリフが語られます。そのセリフに合わせて龐統が口パクの演技を行い、その後に太極拳ベースの演技に突入していきました。

正直、これは目も当てられないような「しけた小芝居」です。。。。観光客が20人ほどあっけにとられてその様子を見守っていました。衣装がなんともしょぼいので残念な気分が増幅されてしまいますが、それなりに一生懸命に演技をしているがゆえ、そのギャップで逆萌えですよ。はい。龐統、10分もの演技、よく頑張った!(泣)

巨大「周瑜像」のある広場で、小喬がお茶を出してくれます!

龐統ショーを終え、そのまま奥に進んでいきます。チープな射撃ゲームのスペースがあったり、きれいな梅が咲き誇る場所があったり、赤壁の決戦前に活躍した「拝風台」があったりしますが、特に心を揺さぶられるような感動をかきたててくれるスポットは何もないまま20分ほど歩き続けます。

すると、高さ10mほどある巨大な周瑜像のある広場に到着。「周瑜の像、デカいなぁ」という言葉以外に、この場所を形容する言葉が見つからない程度のスポットなのですが、、せっかくだし一枚撮っておくか、という感じで彼の姿を写真に収めます。

すると突如そのすぐ目の前で、小喬による「お茶のショー」が始まりました。小喬役の女性はさすがにキレイな方が演じておられましたが、周りのそれ以外の役柄の人たちはどういう気持ちで演じているのか、そっちの方が何か気になりました (どうでもいいですね、はい)。

赤壁最大の目玉、崖に殴り書きされた「赤壁」の文字

周瑜像のある広場の脇にある階段を降りていくと、そこは長江の眼の前。広大で雄大な景色が拡がる、、という期待は見事に裏切られ (泣)、薄汚く対して幅が広くもない「ただの川」が眼前を流れているだけです。

そんな落胆した状態で50mほど先に進むと、「赤壁」の文字が書かれた崖に到着します。なんかこう、すごくドラマチックな情景を期待していたのですが、その期待も再度裏切られ、(わざとらしく) 崖に文字が書かれているだけなんですよ。しかも、文字の眼の前には柵&門が設置されていて、すぐ近くまで行くことはできません。柵越し10mほどの距離から写真を撮るだけで精一杯です。残念。。!!!

Photoshopで写真を加工していますので、実際はこんなにドラマチックではありません (汗)

赤壁旅行の最大のハイライトといえる「崖文字」にさえも落胆させられてしまったわけですが、ここで唯一驚いたのが、「長江の最高水位の記録」でした。1998年には写真を見てわかるとおり、33.73mまで水位が上昇し、これは「赤壁」の文字でさえも沈んでしまう水準です。歴史の重みよりも、大自然の偉大さに驚かされたわけです。

特に見どころもなく、残念な「赤壁大戦陳列館」

無事に赤壁の文字を見終えたボクは、最後の見どころといえる「赤壁大戦陳列館」へと向かいました。周瑜像のある広場から歩いてすぐの場所にあり、中には三国時代の青銅器やら、赤壁の戦いのジオラマ等が展示されていますが、ここもはっきり言って期待外れです。。特にジオラマは南京で見た孫権記念館の展示の方が何倍も良かったなぁ。

とはいえ、この陳列館の中で唯一興味深かったのが、各武将の像が展示されているエリア。コーエイの描く武将の顔と似てる人もいれば、全く違う人もいたりして、間違い探しのようで楽しませてもらいましたよ。

なお、この古戦場テーマパーク内ではろくな土産物屋もないので、何か記念にお土産が欲しい人は、この陳列館内で記念コインが売られていますので、それをゲットだぜしてみてください!

三国志以外も、何でもありの「総合テーマパーク (泣)」状態

以上が三国志関連の各スポットの情報でございます。が、三国志以外にも色々楽しめてしまうのがこのテーマパークの凄いところ!!!w 広大で立派な乗馬エリアがあったり、ガーデンウェディングの準備がなされていたり、何やら他にも特別なイベントが催されていたりもしました。

ディープな三国志ファンではなく、「子供ウケ」を意識しすぎたがゆえ、「総合テーマパーク」に成り下がってしまったんでしょうね (泣)  出口付近には別施設の「電影城?」なるものもできていますが、別途入場料が必要でして、そこでも「商魂たくましさ」を感じることができましたっ。

しかしですね、総合テーマパーク化されているにもかかわらず、場内にはろくに飲食できる場所はないし、飲食物を買う場所もほとんどないので、食事はあらかじめ済ませてから入場することを強くオススメします。

オススメルートを通ると、とにかく階段だらけ⋯ → 超ヘトヘトに

今回ボクは場内を行き交うトロリーや遊覧船などは全く利用せず、すべて徒歩で移動しました。基本的に場内の看板地図にあったオススメルートを辿っていったのですが、無駄に何十段もある階段を登らされることが何度もあり、結構ヘトヘトです。。。

少し高齢の方だと歩き続けられないようなタフさなので、疲れたくない人はトロリーに乗るか、トロリーが通る大きい道路沿いをずっと歩き続けていくと良いでしょう。とにもかくにもいっぱい歩くので、雨の日は絶対に行かないほうが良いですね。

場内をずっと歩き続け、ひと通りメインのスポットを訪れると、だいたい2〜3時間ぐらいで十分です。目安としては徒歩1万歩コース。

赤壁に泊まるなら、古戦場すぐ隣のホテルをオススメ…しない (涙)

赤壁古戦場は赤壁市中心部からとても遠いこともあり、ボクは古戦場すぐ目の前にある「赤壁驿馆」に宿泊しました。古戦場のアナウンスが全部聞こえてくるぐらい間近です。

この宿は旅行サイトのレビューのとおり外観はとても素晴らしく、赤壁古戦場と完全に一体化しています。中に入るとロビーは広くて立派で、部屋数も余裕で100部屋以上はあるぐらいの規模。

しかし、肝心の部屋の方もレビューどおり、「広い、古い、汚い!」そのまんまでした (涙) カーペットは汚くてシミだらけだし、卓上ランプは切れていて、天井の電気は裸電球だから安宿感満載。シャワーはお湯が普通に出るので助かりましたが仕切りのシャワーカーテンがあまり機能せず床がビチャビチャに。。タオルも臭いし (泣)

冷蔵庫も金庫もなく、テレビは20インチもないミニサイズ。2つあるベッドのうちの片方は今まで宿泊してきたホテルのベッド史上「最硬」記録を更新するレベルのカチカチ具合。。

ロビーではWiFiがとんでないし、館内レストランは営業もしていないし、ロビーから部屋は合計100mほども歩かされたし、、、ド田舎なのに、これで252元 (5000円以上)もするのでコスパは最低〜!

食事や買物は、まるで「城下町」のようなメインストリートで

古戦場内ではろくに飲み食いできないので、まともな食事にありつきたい人は、古戦場入口から歩いて10分ほどの距離にある、「城下町ストリート」みたいな道路沿いで食事をすることになります。

ここには20件ほど商店やレストランがあり、どこも混み合っていません。特に入口近くの店は特に静かな感じなので、極力入口から遠い店を選んだ方が懸命です。ボクが選んだ店 (名前は忘れた) は少し遠目に位置しますが、他に客が3組いましたし、味は抜群に美味しかったです。

通り沿いには「土産物屋」と名乗る店も見受けられますが、どう見ても普通の商店にしか見えません。。雑貨屋でポテチや酒ぐらいは購入できますが、バナナさえも見つからなかったので、このエリアに宿泊予定の方は心して行ってくださいね。

まとめ

ちなみに、もともと赤壁周辺には実際の「赤壁決戦の地」と主張している場所が5箇所ほどあって、お互いに主張し合って揉めていたそうですが、紆余曲折あった後、最終的には今の場所で落ち着いたということです。

赤壁古戦場内で撮った、なんとも言えない園内の様子

赤壁は三国志ファンには圧倒的な認知度を誇りながらも、交通の便が非常に悪いため、ファンであってもわざわざ来る価値のある場所かどうかは、、、結構微妙なところ。ただ、武漢等近くの街へ来る用事がある人は、行っておいて損はありません。実際、赤壁古戦場のチケットに「不到赤壁,不解三国 (赤壁に来ないことには、三国志のことを理解したとは言えない)」と書かれているので、三国志を愛する人は訪れざるを得ない場所なんでしょうね。

そんな赤壁を後にして、ボクはその後「荊州」へと向かいました。その際の様子はまた別記事でご紹介したいと思います。

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