まるで中国のアマルフィ!? 欧州風の風景が広がる『东山岛 (東山島)』へ

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「中国なのに、まるで地中海沿いの街!?!」と見間違うほどの美観を誇る、福建省の島をご存知ですか? (…と、それはさすがに言い過ぎなのは百も承知ですが。。😅)

その島とは福建省南部に位置し、厦门 (アモイ) から南へ200kmの場所にある「东山岛 (東山島)」。唯一無二の美しい景色を誇るがゆえ、苏有朋監督の中国映画『左耳』はじめ、映画『你的婚礼』や湖南卫视のテレビ番組『我们来了』など、数々の作品のロケーション撮影がここで行われました。

そんな美観を誇る东山岛ですが、今の中国では珍しく、まだ過剰に観光地化されていないこともあって、ノンビリ過ごすにはうってつけなんです!というわけで、そんな、まだまだノドカで異国情緒にも溢れ、風光明媚な东山岛の魅力をこちらの記事でご紹介いたします。

INDEX

過去に複雑な歴史も抱える、东山岛 (東山島) とは?

一万年も前から先住民が暮らしていたという、古い歴史を誇る东山岛 (東山島) は、福建省漳州市东山县 (東山県) に属し、別称を『陵岛』、また、その形が「蝶」に似ていることから『蝴蝶岛』とも呼ばれているそう。亜熱帯海洋性気候に属し、1月でも平均気温が13℃なので、温暖さは日本で言うと奄美大島ぐらい。

面積220k㎡を誇る福建省で二番目に大きな島で、こちらの搜狐の記事によると、中国国内で9番目の規模を誇っています。ちなみにトップ3は台湾島、海南島、崇明島 (上海市) なんですって。

アモイからだと車で二時間ほどの距離で、廈門高崎国際空港からタクシーで直接向かうと400元+高速代80元 (約9,000円) ほど。大都市圏からほど近く、サイズ感のある「島」という地理的な条件もあり、過去にはポルトガル、オランダ、イギリス、日本から襲撃を受けた歴史があり、国共内戦時にも激しい抗争が繰り広げられた、という複雑な歴史を抱えています。

海岸沿いに広がる「ヨーロッパ風の街並み」が超絶美!

そんな複雑な歴史を背負う东山岛ですが、実際に街中を歩いてみると、そんなことは微塵も感じさせないほどノンビリした雰囲気で、特に島の最東部に位置する南门湾 (南門湾) 沿いの美しい風景は、(特に遠くから見ると) まるで地中海沿いの街並みのよう。

この南门湾は、三日月状に伸びるビーチが何キロも続いており、まさに「东山岛の顔」とも言えるエリア。映画『左耳』のビーチ沿いのシーンは主にここで撮影されました。とにかく、どの場所を切り撮ってもキレイなので、誰が、どこで、どのように写真を撮っても「絵になる」景色がここには広がっています。

ボクは、昼間に街の中心地付近の湾に沿って5〜6kmをのんびりと歩いて写真を撮りまくり、夕方には眼下の広大な海を見渡せるバー「岛语plus」のテラスでカクテルを飲みながら夕景を十二分に堪能。

夜には防波堤上にテーブルが並べられたメシ屋で潮の香りと波の音を堪能しながら海鮮とビールを思う存分楽しみました。特に、水产路から東に奥に入った、ハイネケンの看板がかなり幅を利かせている海沿いのエリアは、このようにビーチの目の前で飲食ができるお店がたくさんあり、賑わいを見せる夜はもちろん、比較的穏やかな昼の時間帯もオススメです。

とっても趣がある地元民のメインストリート「铜陵镇顶街」

島随一オシャレなバー「岛语plus」を過ぎて階段を上がると、島民の電動バイクが数多く行き交う铜陵镇顶街に出ます。ここは、小さな路地が複雑に広がり交錯している街中の、「(地元民の) メインストリート」と言える場所。

ここには小さな個人商店がたくさん集まっていて、屋台営業するメシ屋でローカル食に舌鼓を打ったり、こじんまりとした味のあるバーで飲んだり、カフェに座って人間観察をしたり。この通りからほうぼうへと広がっていく路地も含め、ここはとても良い雰囲気を醸し出しています。

铜陵镇顶街から広がる狭い路地

このストリートをそのまま西側奥へ行くと、ちょっとしたショッピングモール (というか、雑居ビル!?) があり、そこには地元のレストランがいくつか集まっているので、食事をとるにはとても便利です。また、コンビニもあるし、車が通れる大きな道にも面しているので、外地からのアクセスも抜群。ただ、ここから北側へ行くと全く風情のない風景になってしまうので、そちら側エリアの宿に泊まるのは避けるべし。

高台から南门湾の絶景を見下ろすカフェ「山前月台」が最高!

南门湾の北東側は丘陵部となっていて、铜陵镇顶街から路地内の階段をどんどん上がっていくと、街全体を見渡せる頂上エリアに容易に到達することができます。この辺りも、映画『左耳』の撮影が行われたロケーションが多数存在していて、そこから見渡す景色はまさに絶景。

実際に映画『左耳』のロケ現場となったとある民家なんぞは、入場料5元を支払えば、撮影が行われた屋上に実際に上がることが可能。商魂たくましい中国人らしいビジネスですw

このあたりは小さな路地が複雑に交錯し、お寺やらカフェやらお店やらも色々あって、撮影スポットがここかしこに溢れています。中でも、実際に利用させていただいたカフェ「山前月台」には屋上席があり、そこから望む景色はとにかく最高! 店の雰囲気も良いし、コーヒーの味も二重丸。ケーキの味は马马虎虎ですが、甘すぎないテイストは何かと助かります 🙂

东山岛 (東山島) を舞台にした映画『左耳』もオススメ!!

2015年に中国で上映された青春群像劇映画『左耳』。監督は俳優や歌手としても活躍する台湾の苏有朋 (蘇有朋) で、この映画では島の美しいビーチはもちろんのこと、いい具合にくたびれた街頭や、ウォン・カーウァイ映画に登場しそうな雰囲気あるバー「算了BAR」など、島内の数々の場所で撮影が行われました。

出典:西瓜视频

せっかく島にいるんだから、と思い、(あまり期待せずに) この映画を観てみましたが、意外や意外、なかなか面白かった。ストーリー展開に特に大きな驚きやユニークさがあるわけではないんですが、劇中でキーとなる役柄を演じた马思纯 (馬思純 マー・スーチュン) の妖艶&チャーミングな美しさが劇中で絶えず溢れ出ており、どんどんその魅力に引き込まれていきます。

出典:西瓜视频

他にも人気ドラマ「微微一笑很倾城 (シンデレラはオンライン中!)」主演の扬洋 (楊洋 ヤン・ヤン) 、地元福建省出身の欧豪 (オウ・ハオ) らが出演していて、キャスティング、最高。

出典:西瓜视频

この映画は2006年出版の、中国人女性作家『饶雪漫』の小説をベースにしています。小説『左耳』は彼女の代表作とも言われるほどの人気を博した作品で、映画上映時には小説のファンが多数、映画館に集ったそうです。『左耳』は村上春樹の『ノルウェイの森』にも通じるような甘酸っぱい青春の物語なので、いつかこの小説を読んでみたいですね。ま、中国語がもっと上達したら、ですが… (泣)

宿泊は、穏やかなビーチが広がる「金銮湾」も悪くない

东山岛で泊まるには、何時も好きなときに飲み食いに出かけられる街の中心地か、市内中心から7-8km離れ、目の前に穏やかなビーチが広がる金銮湾あたりでしょう。ボクはとにかくノンビリしたかったので、金銮湾の民宿に泊まりましたが、周辺は良くも悪くも店がほとんどないほど静かで、都会の喧騒を忘れるにはうってつけ (ただ、すんごく不便だけども)。

敬愛する「植田正治」風の写真に仕上げてみました

この金銮湾は、波が強くて砂浜の質もイマイチな南门湾とは違い、波は穏やかでキメ細かい良質の砂が延々と広がるビーチで、日の出を望むにはベストスポットと言われています。観光客用の馬がいたり、「海の家」的な店もいくつかあり (大半は閉まってますがw)、「リゾート」というイメージとは程遠いシケたエリア (泣)。

あ、一応、海鮮のレストランも2件ほどは開いていました。ただ、海は遠浅で、上述のとおり波が激しくないため、水面に美しいリフレクションのある景色を撮るにはピッタリ。ほら、ここにアップした写真、なかなか良い感じで撮れてるでしょ? 🙂

ちなみに、このあたりは建設途中のマンションが立ち並んでいるエリアがあって、そこには世間を賑わしている「中国恒大」の文字が掲げられた物件も含まれます。投資用のものが焦げ付いたのでしょうけども、こうやって中国経済の負の遺産を目の当たりすることができ、ある意味興味深し。

市内移動はシェア電動バイクだと、とっても楽ちん♪

今回の旅で、意外と苦労したのは「島内での移動」。金銮湾の宿から中心地までは車で10分ほどの距離ですが、滴滴打车や高德地图などの配車APPを使っても、車がなかなか捕まりませんでした。それは大いに、旅をした時期が春節だったということがありますが…

主要観光地や大きなビーチ周辺では電動バイクのレンタル屋があって、一日80元程度 (約1500円) で借りられるので (免許不要)、それを利用することも可。ボクはそんなに頻繁に移動する必要もなかったので、路上に転がってるシェア電動バイク (下記インスタ参照 ※人物はボクじゃありません) を利用しました。

15分ほど乗って3元ぐらい。非常に格安です。ただ難点は、時速20kmほどしか出ないのでかなり遅いのと、会社によって移動可能なエリアが限られていること。街の中心部はサービスエリア外の会社もあるので、ご注意ください!

まるで中国のモルディブ!?、ロマンティックな「魚骨砂州」

中国国内の各SNS上では「まるで中国のモルディブや〜!」と人気を博している様子の「鱼骨沙洲 (魚骨砂州)」。砂州は海の真ん中に形成された砂浜のようなもので、満潮時にはわずか数百㎡分しかない砂浜が、干潮時には2x0.5k㎡以上に達するんだとか。いま、こうやってここの写真を目の当たりにすると、特異な光景に目を奪われます。

ちなみに、各主要観光スポットとは遠く離れた东山岛の南西部に位置するため、ボクは行かなかったんですが、、目を奪う光景を楽しむのみならず、カニを捕まえたり、周辺で海釣りなんかもできるそうです。

まとめ

こうやって旅行記を見返してみると、东山岛では特に何もしてないんだな、、ということがわかりますねw。ま、でもビーチ沿いに広がるヨーロッパ風の街並みを楽しみ、映画『左耳』のロケ地を訪れ、あとはたらふく海鮮を楽しめたから十分でしょう。

ここは人気観光地の 丽江 (麗江) や杭州のように観光客で溢れているわけではないので気疲れ人混み疲れすることもないし、島民は穏やかで、ノンビリするにはこの上ない場所です。

アモイから足を伸ばして立ち寄る、には少し遠い場所にある东山岛ですが、そのぶん観光スレしていない、ピュアな島ライフを十二分に堪能できますので、時間があれば是非とも一度立ち寄ってみてください!

xxx

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