変な歌詞のクラリネットをこわしちゃった・・・ 全音出ないし原曲は軍歌??
キテレツな歌詞を交えて「パパからもらったクラリネットを壊してしまった」ことがネガティブに延々と歌われる、音楽の教科書にも掲載された童謡「クラリネットをこわしちゃった」。老若男女誰もが知るこの悲しい歌は作詞者・作曲者ともに不明ですが、発祥がフランスの歌「J’ai perdu le do (“ドの音が出ない”の意味)」として世界各国で親しまれており、我々ニッポン人には「突っ込みどころ満載の歌」として特にブログ・SNS界隈で重宝されているようです。
その肝心の歌詞はうたまっぷ『クラリネットをこわしちゃった』で確認いただけますが、こちらの記事ではそのツッコミどころx3を、ササッとご紹介しますね。
ツッコミどころ1:変な歌詞「パキャマラド? パッキャラマオ!?」
純真無垢な幼い子供の頃には深く考えずに「オー パキャマラド パキャマラド~♪」と歌っていたはずですが、大人になって冷静に考えると「あの呪文ってなんだったんだろう?」と思うとともに、何十年経ってもまだ歌詞を明確に覚えていられるという、驚異的な脳ミソへの粘着力に驚きです。
この「オー パキャマラド パキャマラド パオパオ パンパンパン」のくだり、ロトの勇者が「ふっかつ」するために使われる「呪文」でも何でもなくて、フランス語の歌詞「Au pas, camarade, au pas, camarade, Au pas, au pas, au pas, au pas, au pas.」の音をそのまま日本語歌詞に展開したものなんですって。意味としては、「Au pas」=「一歩一歩」、「camarade」=「友/同志」なので、ここのくだりは「友よ、一歩一歩 (前進していこう!)」と勇気づける内容の歌詞だったのです。
もし、フランス人の友人や同僚が落ち込んでいるような時は、この歌を優しく歌ってあげると優しくてエスプリの効いたナイスガイと思われること間違いなし!!
ちなみにボクは「パキャマラド パキャマラド パオパオ パンパンパン」ではなく、「パッキャラマオ パッキャラマオ パオ パオ パッパッパ」という歌詞で習った、少数派の「パッキャラマオ派」です。(記憶が確かなら・・・)
ツッコミどころ2:壊れた音がドとレとミと・・・ 全音出ないだと!?
せっかくパパにもらったクラリネット、しかも大事にしてたのに音が出ない。そりゃ焦りますわな。しかも、出ないのは、ドとレとミとファとソとラとシの音・・・ つまり、全音出ない!? いったいどんな使い方したらそこまで壊れんねん!!!と完全ツッコミ待ちの歌詞となっとります。
ちょうど1年前に放送された番組『バカリズムのそこスルーする?』の中でも、ボクが敬愛するバカリズムがこの点に関してツッコミを行っており、壊した原因として「バーベキューの串にした」「蕎麦打ちの棒として使った」等、素晴らしいユーモアを交えて推測しておられました。以下は放送後にアップされた、バカリズムのインスタの投稿。
ボクはクラリネットのことは全く何も知らないのですが、もしかして、ドレミファソラシは出なくても、♯ (シャープ) や♭ (フラット) の音は出るのかもしれません!? この歌い手はもしや、♯や♭音だけを使って演奏できる天才なのかも・・・
そんなことを考えながらオリジナルのフランス語版を見てみると、音が出ないのは「ド」の音だけで、しかも「物理的に出ない」んじゃなくて、「上手く出ない」ということが判明。。タイトルの「J’ai perdu le do」は英語では「I have lost the A」、つまり、直訳だと「ドの音を失った」となり、意味合いとしては「ドの音の出し方を忘れてしまった」ということになんですねぇ。
なぜ日本語訳で「全音が出ない仕様」になってしまったのかは、訳詞された石井好子さんに聞かないとわかりませんが、探し当てた英語版はなんと、こちらも同じ「全音が出ない仕様」に! 英語版は日本語版からの翻訳なのかもしれませんし、謎はまだ謎のまま・・・ ご存じの方がおられれば教えてください。
ツッコミどころ3:原曲はナポレオン軍に愛された「玉葱の歌」!?
フランス語の歌詞全体を見てみると、クラリネットを壊してうろたえる息子の話ではなく、優しいパパが「上手にドの音が出なくても、息子よ、一歩一歩進めばいいよ」というメッセージを投げかけている、心温まる歌だということがわかっりました。が、しかし実はこの歌の原曲は「La chanson de l’oignon (玉葱の歌)」と考えられており、ナポレオン軍が士気を上げるために歌ったとされる説があります。
その証拠に、サビの部分の歌詞はクラリネットとは全く関係ないのにもかかわらず、「Au pas, camarade, au pas, camarade, Au pas, au pas, au pas, au pas, au pas.」で、全く同じ! 戦時中なので、「戦友よ、共に前へ進もう」というポジティブというか、何とも言えない意味になってしまいますね。
以上、人気童謡「クラリネットをこわしちゃった」の、実は深いお話でした。こうやって最後まで読むと、フランス人にこの歌を歌うのもリスキーかもしれませんね。。。どうしてもパキャマラドしてみたい人は、エスプリを持ち合わせたシャレが利く人にトライしてみてください。クラリネット親父のように優しい男と思われるか、極右と見なされ玉葱のように泣きをくらわされるか、、アナタ次第!
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