外灘沿いにある、安藤忠雄が設計した「震旦博物館 (オーロラ博物館)」を訪問

震旦博物館 震旦博物馆 AURORA Museum オーロラ博物館 上海 安藤忠雄 Ando Tadao

上海#1観光スポットである外灘 (バンド) の川沿いに、台湾で創業したOA機器販売ブランド「震旦 AURORA」の自社ビル「震旦国际大楼 (AUROLA PLAZA)」があり、そのビルの中に安藤忠雄が設計した私設美術館である『震旦博物館 (オーロラ博物館)』があります。

ビル全体の設計ではなく、「ビル内ミュージアムの改築」という、安藤忠雄としては珍しい形の作品ですが、そんな貴重な空間にこの度足を運んでみましたので、その際の様子をご紹介します。

外灘 (バンド) の目の前に位置する、絶好のロケーション

この「震旦博物馆 AURORA Museum」は2013年にオープンし、「AURORA GROUP (オーロラグループ) 震旦集團」の陳会長が40年以上に渡って収集した古代中国の陶磁器や仏像など、歴史的価値の高い収蔵品の数々が収蔵されています。

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外灘の浦西側から望む浦東の景色 右奥の金色ビルが震旦の建物

黄浦江の流れる外灘 (バンド) の目の前、浦東側に位置し、金融街で有名な「陆家嘴」の地下鉄の駅から徒歩5分の、非常に立地に恵まれた場所にあります。ゴールドでピカピカのビルなので、対岸の浦西側から見ると非常に目立つ建物です。しかも赤色の「震旦 AURORA」のロゴがデカデカと備え付けられているため、すぐに目に付き一度見ると忘れられません。ブランド名のアピール手法としては100点満点でしょう (笑)  

また、ビルの外壁に面して巨大なLEDスクリーンが設置されており、心斎橋のグリコ並の目立ちぶりです。2004年10月には世界最大サイズのスクリーンとしてギネスブック記録に認定されました。そのサイズはW57xH63mで3591㎡もの大きさを誇ります。

38階建て185mの高さを誇るこのビルは2003年に竣工し、元から美術館がビル内にありましたが、AURORA GROUPの陳会長の熱烈なアタックにより、安藤忠雄が改築を担当することとなりました。普段は改築事業を手がけない安藤忠雄は最初この依頼を断ったそうですが、ビデオレターを介しての熱意なアピールに負けたようです。

震旦博物馆の一階から常設展/企画展の入口に至るまで

ビルに入って左奥へ少し行ったところにチケットカウンターがありますが、たとえ外国人でも(!)、微信 Wechat の公众号 (オフィシャルアカウント)「震旦博物馆」からチケット購入が可能なので、前もっての購入がオススメ。常設展と企画展の通しチケットもあります (今回は150元)。

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震旦博物館 1Fチケットカウンター

各展示をみるためには、このチケットカウンター前にある、「宮殿内のお姫様用階段」のような階段を上がります。ここの階段はいかにもSNS映えしそう、&ここも安藤忠雄設計だろうと思い込んでいる・・・ということもあって、絶好の撮影スポットとなっているようですね。

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安藤忠雄設計かどうかわからない、本館と別館のちょうど中間に位置する階段

2階にあがって右側に常設展が、左側に企画展の入口がそれぞれあり、見ている限りでは大半の人の目的は常設展の方でした。この常設展が行われている部分が安藤忠雄が設計を手がけたパートになります。

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このフロアの一番奥には、今はエントランスとして使用されていない「エントランス」があります。安藤忠雄の当初の想定ではここの池には水が張られる予定でしたが、結局、風水的に運気が悪いという理由でNGとなり、水の代わりに「白の小さな石」をたくさん敷き詰めて代用し、水の輝きを抽象的に表現したのだそう。TV番組「情熱大陸」でそうおっしゃってました。

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前面がガラスのカーテンで覆われたファサード (博物館は左側の小さな建物)

ちなみに、オフィシャルサイトでの記述 によるとこのミュージアムは「宝石箱」からインスピレーションを得て造られたようで、ガラスのカーテンを用いて幾何学的な外観に仕上げられています。

展示物も、美術館内の空間も楽しめる「常設展」

セキュリティチェックを経て中に入ると、まず最初に象徴的な姿で出迎えてくれるのは、南朝時代 (420-589年) の辟邪神獣。魔除けの獣として王宮や霊廟を護っていたそうで、館内のこの場に展示されるのはピッタリですね。

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ま、若い人の多くはそんなものには目もくれず、館内の景色撮影に夢中です。ボクのように、展示物ではなく安藤忠雄の建築目的で訪れる人がかなりの数いる模様。とは言っても、薄暗い美術館の中は特筆すべきフォトスポットがいくつもあるわけではないので、、撮影が一通り終わると皆おとなしく展示物を見て見て回っています。

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各フロアの展示内容は、2階 古代陶器、3階 翡翠、4階 磁器、5階 アンティーク研究センター、6階 仏教彫像、となっています。所々、美術館愛内の空間の美しさに目を奪われることがあり、それは安藤忠雄が意図したものなのか、それともキュレーターの手によるものなのかわかりませんが、、展示作品も、建築自体も、外の景色も、一度に三倍楽しめる素晴らしい場所です。

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常設展で心惹かれた作品の数々

図らずも、ピカソやダリ作品に出会えたロックフェラーの「企画展」

常設展の入口のちょうど向かい側に、ちょうど対称的な場所に位置しているのが、企画展の入口です。ボクが訪問した際の企画展は「洛克菲勒艺术基金收藏展 (ロックフェラーアート基金コレクション展)」で、ロックフェラー財団が所有する「欧米アート界の5人の巨匠」の作品100店余りが展示されていました。

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各アーティストにより油絵、水彩画、陶器など、様々な形態の作品が並べられていますが、そのアーティストはなんと、ピカソ (勃罗·毕加索 Pablo Picasso)、ダリ (萨尔瓦多·达利 Salvador Dalí)、モディリアーニ (阿曼迪奥·莫迪里阿尼 Amedeo Modigliani)、モランディ (翘楚乔治·莫兰迪 Giorgio Morandi)、アルマン(阿曼·皮埃尔·费尔南德兹 Arman Pierre Fernandez)、というそうそうたるメンバー。

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特にピカソやダリは、あまり見たことのなかったソフトタッチなリトグラフ (石版画) の作品がいくつか飾られており、そんな思いもよらない出会いに、なんかラッキ〜♪と嬉しく思った次第です。そして、一番印象的だった作品と言えば、これまたダリの「黄道十二宫黄金盘 (Twelve Signs of the Zodiac)」でしょう。

震旦博物館 震旦博物馆 AURORA Museum オーロラ博物館 上海 安藤忠雄 Ando Tadao Salvador Dali
黄道十二宫黄金盘 (Twelve Signs of the Zodiac) by Salvador Dali

Dali Foundation (ダリ基金) の限定版だというお皿に描かれた作品は、これらを並べるために特別に用意された空間内に展示されており、空間のスペシャル感が半端ありません。全12星座分の作品が神々しく展示されていますが、そのひとつひとつのデザインはダリらしい強烈さが控えめで、どこか可愛らしさが感じられたのが意外で、とても印象に残りました。

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この企画展は各アーティストのエリアが異なる5つの色で明確に分けられており、茶色 (ピカソ) → 青 (モディリアーニ) → 黄色 (ダリ) → 黄緑 (モランディ) → 白 (アルマン)、と順番に続いていきます。

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最後の展示が終わって出口から出ると、そこに広がるのはヨーロッパの宮殿かと見間違うような、(特にここ中国においては) 非現実的な美しい情景。ここもSNS映えしまくること必至のスポットですが、あまり知られていないためか、人がほとんどいませんでした。

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実は最大の見どころ!? 外灘の絶景が楽しめる「A Café 5」

常設展を入口から、階を順番に上がっていくと、それまで暗い空間が続いていた館内が突如明るくなるフロアがあります。それは5階に、外灘 (バンド) の絶景を目の前で楽しめるカフェ「A Café 5」があるからです。外灘に面した壁に大きな窓が広がっていて、まさに「借景」によってその空間が美術作品にされたかのよう。真夏はエアコンもギンギンに効いていて、心も身体も大いに癒やされます。

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ここは合計6〜7テーブルしかないため座席数が限られていて、また、ミュージアムの閉館時間になると閉まってしまうので、あらかじめ時間に余裕を持って訪れる方がベター。時間のロスを避けるためにも、先に企画展を見てから常設展を見て回り、最後の仕上げにカフェでゆっくりすると良いでしょう。

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さすが私設美術館!! と賞賛したい、充実のミュージアムショップ

全ての展示を見終えたら、1階のチケットカウンター裏側に位置するミュージアムショップに是非とも行ってみてください。中国においては、ミュージアムショップで心ときめくことがほとんどなく、いつも残念な気持ちにさせられるのですが、この震旦博物馆 Aurora Museum は私設のプライベートミュージアムということもあってか、品揃えはとても充実しています。

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収蔵作品に関連したアイテムは非常に少なく、、それは残念なんですけども、丁寧にセレクトされたであろうグッズが数多く並べられており、ギフト用にも使えるようなものも結構あり。

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安藤忠雄関連のコーナーもあって、そこには「光の教会」のミニチュア模型やスケッチ原本 (おそらく) などが飾られており、ここは必見です。また、100年の歴史を誇るイタリアのガラス工芸品ブランド「VENINI」とコラボレーションして創られた『VELIERO 帆船』という名前の数量限定のランプがここで売られていて、そのお値段は206,000元 (約412万円)! 中国での安藤人気を考えると今後値段が上がっていくでしょうし、投資アイテムとしても良いでしょうね。。

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「光の教会」スケッチ (左) と、『VELIERO 帆船』(右)

まとめ

外灘 (バンド) の浦西側からの景色で、いつも異彩を放って目立っているキンキラキンの「震旦国际大楼 AURORA PLAZA」。どんだけ成金やねん (趣味ワル〜) という印象をずっと持っていたのですが、今回、実際にその中の博物館を訪問してみて、その印象は180度変わりました。

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一説によると国営の上海博物館を凌ぐ収蔵品を数多く揃えたとても見応えのあるコレクション、安藤忠雄の設計した美しい内部のデザイン、非日常感がとても心地よく感じられる独特の雰囲気。さすが巨大グループ会社の私設美術館!という感じです。あと、どこからどこが安藤作品なのかあまりわからず訪問したので (汗)、ここのブログできちんと予習してから行った方が楽しさ倍増!のはず 🙂

金曜は21時までオープンしているので、夕食後に訪問するのがオススメ。ただ、その度に入場料60元を払うのも馬鹿げていますが、、、特別なオケージョンには良いのではないでしょうか (!!)

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