安藤忠雄が中国で初めて手がけた『上海国际设计中心 (上海国際設計中心)』

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ここ最近、安藤忠雄が関わった建築を続けて訪れていますが、今回は上海の名門、「同济大学 (同済大学)」キャンパスのすぐ隣にある『上海国际设计中心 (上海国際デザインセンター)』に行ってきました。

2006年に着工したこの建物は安藤忠雄が中国で初めて手がけた建築で、2008年末に竣工、2010年から正式に使用開始。今回はそんな、(現地で決して人気が高いというわけではない・・・) 上海国際設計センターを訪問した際の様子をご紹介します。

取り残されたような場所に、どこか窮屈そうに佇む安藤作品

安藤忠雄建築研究所が 同济大学建筑设计研究院 (集团) 有限公司 との合作によりつくられた上海国际设计中心 (上海国際設計センター) は上海市杨浦区国康路100号 (中山北二路1151号) に位置し、地下鉄10号線「同济大学」駅から自転車で約10分の距離。市内中心からはほんの少しだけ郊外に行った、比較的落ち着いた場所にあります。

総工費は4億7000万元で、敷地面積は9127㎡、建築面積は47000㎡を誇り、同济大学科技园 (同済大学科学技術パーク) 内の最西端に位置しています。同済大学の巨大なキャンパスと高速道路の高架「内环高架路」とに挟まれたところにあり、実際現地に足を運んで見てみると、少し窮屈そうにその場に佇んでいるように見えます。

左側に見えるのが高架道路

上述の通り目の前に高架があり、大学のキャンパス内には自由に入れなかったりするし、歩道の街路樹が邪魔だったりするので、ビルの全体像を写真に収められる場所を見つけるのが難しく、今回アップしている写真もイマイチ全体像が掴みにくいかもしれません (汗)

“鋭利”なビルには建築関係の団体が多く入居、メンテナンスは・・・

斜めに鋭く突き出した壁

百度百科の記事 によると、安藤はこの上海国際設計センターが上海という都市の「驚くべきスピード感と生命力」に見合うだけの建築となり、上海の景色に美しく馴染むことを望んだそうです。

実際、外壁が全てガラスで覆われたメインのビルは非常に鋭い印象を受ける直線だけで構成され、矢印の先端のように斜めに突き出した壁のデザインからは現地の人のスピード感や合理性を感じずにはいられません。

正面奥がメインの高層ビル (左)、低層ビルのクローズアップ (右)

ちなみに、ビルの中はオフィスとしての利用が中心。特に建築関連の企業や研究室が多数入っています。同済大学は建築関連の学部が非常に有名で上海ナンバーワンと言われているそうなので、どおりで建築色があからさまに強いわけです。

中庭の様子 右側には景観を損なう某コンビニ店が・・・

メインの高層ビルの向かいには中庭が広がっていて、その両側に低層のビルが建ち並び、その1階にはコンビニやアート関連のショップ、そしてなぜか!?蘭州拉麺屋が店を構えています。安藤の象徴であるコンクリート打ちっ放しの壁にすっぽり収められた感の景色はなかなかシュールで、ここが中国であることを強く感じさせてくれます (笑)

“蘭州 in the ANDO”

敷地内をブラブラしつつ、写真をいくつか撮影させてもらいましたが、掃除やメンテナンスはそれほど行き届いていないようで、、せっかくの安藤作品がもったいないなぁ、、、という印象。市内中心部からは少し離れているし、わざわざここまで来る観光客などほとんどいないでしょうし、仕方ないですかね。

廃墟感漂う、敷地内の端っこにある一角

名誉ある受賞歴はイマイチ、、際立つ不名誉な受賞。。。

このプロジェクトで安藤が合作した 「TJAD (同济大学建筑设计研究院)」の記事 によると、上海国際設計センターは以下の建築賞を受賞しているようです:
2013年全国优秀工程勘察设计行业奖结构专项三等奖
2013年上海市优秀勘察设计三等奖
2013年上海市优秀勘察设计结构专业二等奖
2011年第七届中国建筑学会优秀建筑结构设计奖三等奖
が、全て2等と3等なので、どれも地味な感じですね・・・ ま、ただ、外国人である安藤の初中国建築ということで、色々なところから風当たりがキツかったであろうことは想像に難くありません。

他にも受賞歴としては、こちらでも紹介されているとおり、2018年に中国で「最も醜い建築物10選 (中国十大丑陋建筑)」に名を連ね、不名誉なことにワースト賞を獲得してしまったそうです。。受賞理由としては「盛名之下,其实难副」と紹介されており、「名声は高いが、実質が伴わない」とのこと。

出典:【知乎

安藤作品ということで注目されていたにも関わらず、期待外れに終わったということなのでしょう。確かにこのビルを実際にこの目で見て驚きや感動を覚えることはありませんでしたが、少なくともこの「十大醜い建築」にエントリーされるほどのものではありません。

2位以下の建築を見れば唖然とするレベルですから・・・ま、でもこれは中国で安藤人気がかなり高まった後の2018年に発表されたものなので、「安藤の割には期待外れ」ということを指し示しているのでしょうね。

まとめ

以上が「上海国际设计中心 (上海国際設計センター)」のご紹介になります。ネット上に特にこれといった資料もなく、現地に行ってもこれといった発見もなく、「安藤なのに期待外れ建築」という評価は全く間違ったものではない、と言えるかもしれません!?!?

ANDOらしいコンクリート打ちっ放しと、無造作に置かれた石

ただ、何か撮り忘れたシーンがあるような気がしているので、近くに行くチャンスがあれば、再訪して様子をうかがってみたいと思います。メンテナンスもいい加減な、こういう、なんか庶民的な安藤作品も良いんではないですかね!

XXX

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