日常が戻りつつある、中国最新コロナウイルス状況+驚異の随申码
全世界に広がりつつある新型コロナウイルス。感染源の中国ではピークと思われる2/15頃を境に状況が好転し続けていて、今週から日常が戻りつつあります。しかし、その日常が「今までは全く違う日常」に変わりを遂げていくであろうことがわかってきました。今回の記事では、その新しい日常の様子と、最新状況をいくつかご紹介します。
拍車がかかった、徹底的な「ビッグブラザー」的管理で感染防止
日本とは違ってスマホでのキャッシュレスでの支払いが当たり前の現代中国ですが、タクシーを呼んだり自転車シェアリングサービスを使ったり、通常生活を送るにあたってスマホは生活必需品の中でもトップに君臨する存在です。そんな便利なスマホですが、利用者のスマホ利用時の行動履歴はビッグデータとして政府が管理しており、いつどこで誰が何をしたのかが丸わかり。アプリ利用時のデータのみならず、GPSや電波受信状況もデータ蓄積されています。また、飛行機や高鉄 (新幹線) の移動でさえ、チケット購入時に実名登録が必要なので、人の移動も厳しく管理されています。
資本主義社会においてはこれが尊大な「自由」や「プライバシー」を剥奪する、けしからぬやり方だ!という考えに結びつくのは当然ですが、今回のコロナウイルスの封じ込めにはこの「政府の徹底的な管理」が非常に重要な役割を果たしています。新規ウイルス患者が見つかった場合はその人の行動履歴を分析し、濃厚接触者の割り出しがすぐに行われて該当者へすぐに連絡がいきます。市外から上海へやってきた人は、スマホのビッグデータですぐ判明してしまいますし、政府の拘束から逃れられないシステムが構築されているのです。
このようにテクノロジーを駆使して徹底的に管理を行える体制があるがゆえ、コロナウイルスの抑え込みに成功しつつある、それが今の中国です。中国においてこの管理から逃れるためには、スマホの電源を切り続けて現金で支払いを行うという、4~5年前の原始人的な生活を送るしかないでしょう。そんなん無理・・・と思ってたら、日本の高齢者だけに限らず (!)、結構多くの人はこうでしたね。。中国ではムリゲーです!
コロナウイルス感染フリーを証明する「随申码」の導入
「随申码」は上海で2月17日から試験的に導入されたシステムで、コロナウイルス感染の疑いがないことを証明する「健康通行手形」的なもの。過去2週間コロナウイルス汚染地域にいなかった人は「安全な人」なので、表示が「緑色」に。危険と指定されている外地から上海にやってきて14日間の隔離期間中の人は「黄色」で、症状確定中で退院前の人は「赤色」が表示されるようになっています。
今後上海では、スーパー、マンション、工場、オフィスビル、病院や銀行、役所等、人が多く集まる場所ではこの随申码を提示することが義務化されていく模様。すでに上海日本領事館が入居しているビルでは実施されており、今後、一気に広まっていくものと思われます。
外国人が登録できるようになったのはここ数日のことですが、登録は簡単。随申码アプリから、もしくは、支付宝 (アリペイ) か 微信 (Wechat) のミニプログラムから登録が可能。外国人で支付宝をすでに実名登録していれば、ミニプログラムを立ち上げてすぐに使えるようになります (上記参照)。
最新テクノロジーを駆使しながら新しい社会システムを秒速で構築していける中国って、スゴイです。ま、ただ、急造したものの宿命で何かトラブルがそのうち起こると思いますが、システム障害で「赤色」が間違って自分のスマホに表示されたら、エラい目に遭いそう。。。怖っっ
徐々に広がりつつある、今までとは全く違う日常の風景
春節休みが明けても中国全土の街から人が消えたと言われましたが、ウイルス感染の拡大を上手く止められている北京や上海などでは、街中に人がだいぶ戻ってきて、日常が戻りつつあります。しかしながら、その日常の風景は以前とは全く異なり、そこかしこでコロナウイルス余波を垣間見ることができます。
上海を例にとると、まだ自宅でテレワークをしている企業が多く残っていたり、学校がまだ閉まっていることもあって、地下鉄はピーク時でもまだ人が非常に少ないままです。代わりに、子供の学校への送迎がないにも関わらず、朝夕の渋滞は以前よりもひどいところがあるほど。つまり、感染リスク回避のためにマイカーで通勤でしている層がかなり多いことを証明しています。
肺炎影响下的上海地铁 pic.twitter.com/ghDAimePe9
— 陽菜&宮水三葉大好w (@Mitsuha_QuQ) March 7, 2020
レストランはすでに大半がオープンしていますが着席エリアをまだ使用できない場所もあります。スーパーはずっと営業を続けていますが、時間短縮営業を強いられているところが大半。オフィスビルに入るには検温と入場許可証の提示は必須で、すぐ近くでの濃厚接触を避けるためエレベーター内の定員が4名や6名まで、と決められていたりします (下記参照)。
#Beijing recommended lift positions in a time of #coronavirus. No holding hands I guess. Don’t worry #China we’re movin’ on up! pic.twitter.com/QYkuuoyTFa
— Stephen McDonell (@StephenMcDonell) March 5, 2020
スポーツジムはここ数日でやっと再オープンすることが許されましたが、窓は開放で空調NG、シャワーやサウナも使用不可とされるなど、多くの制限がかけられています。日本人学校は4~5月に開校しても良いという判断が政府から一度されましたが、おそらく日本の感染状況悪化を受けて、開校日が白紙にもどされてまだ未定のままです。
それと、一昨日の3/5から開始された「日本からの渡航者は14日間隔離義務化」も大きなニュースです。上海に自宅がある人は、14日間の自宅隔離が求められ、自宅がない人は上海市政府が指定する施設で最大14日間隔離されることに (仕方がないので黙って従うしかないのですが、自宅がないのに14日間隔離前提でやって来る滞在者なんているんでしょうか!?)。入国後にパスポートを預け、検疫当局から指定された特別な車両で移動することが求められているとのこと。
友人、昨日夕方に上海虹橋空港に到着し、長寧区の自宅に着くまで6時間かかったそうです。検疫や入境の手続き以外、機内やバス内での待機時間が約4時間。防護服やマスクを着た係員が車でマンションまで送ってくれたようです。
— Sakai@20190916上海駐在→中国企業へ転職 (@7082SAKAI) March 7, 2020
本人の感想、「係員が淡々と対応していて、優しい感じもした」
明日は私!
以上、3月7日時点での、新型コロナウイルスの中国における最新事情をお伝えしました。とにもかくにも、いち早く新型コロナウイルスの脅威から解放される、平和な日がやってくることを望みます。
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