水中博物館で歴史に触れ、エモい本屋/カフェで一日楽しめる『广富林遗址』

上海の南西外れにあり、金持ちの別荘が立ち並ぶことで知られる「松江区」。映画村の「上海影視楽園」や遊園地「上海歓楽谷」なども有名ですが、近年、松江のランドマークとしての役割を担っているのが『广富林文化遗址 (広冨林文化遺跡)』

松江に勤める知人いわく、松江と言えば「路面電車」と「广富林 (広冨林)」でしょ!と言わしめるほどの存在で、ヒルトンがリゾートホテルを建てるぐらいに注目を集めている場所でもあります。

水中に半分沈んでいるかのように見える建築で有名な「広富林文化展示館」を含め、周辺のエモい Must-go なスポットをいくつか訪問してきましたので、その記事をこちらでご紹介いたします。

数千年の歴史を学べる史跡のテーマパーク「广富林文化遗址 (広富林文化遺跡)」

「先有松江府,后有上海滩」という言葉が示すように、今の上海の歴史は松江から始まったと言って過言ではないほど、松江は太古からの歴史がギッシリ詰まった場所として知られています。5000年前の新石器時代から明の時代までの遺跡が、1958年にここ松江区で最初に発見されました。

その後、敷地24000㎡に渡って発掘が行われ、1977年に「上海市文物保护单位」に、2013年には「全国重点文物保护单位」に認定され、2018年6月に 广富林文化遗址 (広富林文化遺跡) としてオープンしました。

無料で開放された敷地内には “水中博物館” として有名な「広富林文化展示館」や、アートに力を入れる書店「朵云书院」などの見どころたっぷりな場所がありつつ、KFCやスターバックスなどのチェーン店もあるので、ワガママな子供や美女連れにも優しい史跡テーマパークとなっております〜

广富林文化遗址へは、市内中心から1時間強

上海市内中心地からは地下鉄9号線「松江大学城」駅で降り、そこからバスを乗り継ぎ、約1時間強の道のり。駅近くのバスターミナルから「松江15路」に乗れば广富林目の前の停留所「华东政法大学」には10分ほどですぐに到着するんですが、ボクは逆方向へ迂回していくバスに間違って乗ってしまい、1時間ほどかかってしまいました (汗) 

時間がもったいないので、駅を降りて自分で車を呼んで行く方が賢いです。駅前にはタクシーの客引きもいるので、それをトライしてみるのも趣があるかもしれませんが・・・ 詳しいアクセスはこちらを参照してみてください。

バス停を降りてすぐ向かいに敷地内への入口があります。予めWechatで予約をしていったのですが、誰も何もチェックしてくれず、ただ健康吗を見せるだけで中に入れます。気温40度超の日で、体温も40度を超えてましたが普通に入れます (笑)

水中の館内で太古の歴史に触れられる「广富林文化展示馆 (広富林文化展示館)」

广富林文化遗址のハイライトと言える「广富林文化展示馆 (広富林文化展示館)」。ここでは新石器時代から近代までの歴史を順に学ぶことができ、蝋人形を使って再現された当時の様子をリアルに感じ取ることができます。

外国人は外のチケット売場で (いちいち) 紙の券を購入すべし

この展示館は有料なので、中に入るにはチケットの購入が必要です。中国人はスマホ上で購入、スイスイ中へと入っていきますが、システムがパスポート番号を受け付けてくれないため、外国人は入口から2分ほど歩いたところにあるチケット売り場の小屋で紙のチケットを購入する必要があります。

ホント、毎度毎度面倒なんで、タオバオでフェイクのIDが買えないかな、、とか何とか思う人もいるみたいですが、そんなんダメですよねw

「水中」関連の驚きは全くなし・・・ でも展示は意外と興味深い

展示館の中に入るとエアコンが効きまくってて、何ここ天国サイコー状態。水面よりも下へいざなってくれる階段を徐々に下りていき、テンションが上がってきた頃、遺跡を発掘中の様子を描く蝋人形が出迎えてくれて、結構ビックリさせられます。

その後、気を取り直して順路を進みますが、新石器時代あたりの展示は特に何も感じることがなく半分素通り・・・ なんですが、明の時代あたりから様子が様変わりし、各展示が「映画のセット!?」と見間違うような、クオリティが非常に高いセットで当時の様子が再現されており、雰囲気あって臨場感もたっぷりで、当時の空気感まで明確に想像できるほど。

ここの一部をレストランやカフェとして解放して、新横浜ラーメン博物館のような場所にすれば、繁盛間違いなしと思った次第です。当時の料理や酒を再現したりなんかもして。

その後はほどなくして出口に到達。地上に上がった後は、水上に半分沈んだ (ように見える) 建物の写真を撮るだけ。ちなみに、この建物が水中にあるのは、明の時代の文献に水の景観が記されていたことから、水をふんだんに使った景観が作り上げられたようです。それにまつわる展示は特になかったようで (見落としただけ?!)、それは少し肩すかしをくらった感じです。

龙源路から望む、水面が美しい广富林の様子

せっかくの美しい風景なので、ライトアップされた幻想的な光景を撮ろうと思い陽が沈む頃に龙源路に出たのですが、(8月半ばの) 18時を過ぎてもライトが付かず・・・、結局、諦めて帰宅しました。

明代の建築をリノベした、趣タップリの『朵云书院』广富林店

广富林文化展示馆の外観を写真に収めたあとは、その出口からすぐの場所にある「朵云书院 (朵雲書院)」へと向かいました。上海にある朵云グループの書店はこれまでに浦東の上海中心52階に位置し絶景が楽しめる「朵云书院旗舰店」、古い教会をリノベーションした「思南书局 诗歌店」を訪れた ことがあり、こちらが3軒目。

実際にこの朵云书院 广富林店へ行ってみると、ボクの期待を全く裏切ることのない、この上なく美しいスペースでした。ボクの中国語のレベルがまだまだアレなんで、並べられている本のセレクトにはそれほどそそられないのですが、同グループの他支店と同様、ギフトにはピッタリの見た目センス溢れるアイテムが色々あります。

が、一番の見どころは誰もが写真に収めずにはいられないカフェスペースです。室内カウンターでオーダーをした後、中央の中庭エリア、エアコンの効いた奥の広い部屋でもお茶することが可能。中庭は完全に吹き抜けですが、四方八方からエアコンの風が漏れてくるためか、真夏でも非常に涼しくて超快適です。中庭には団体客もいませんし、とても静かに美しい情景を楽しむことができます。非常に落ち着いた気持ちになり、真夏の炎天下で疲れた身体が一気によみがえります。

二階はギャラリースペースになっているようですが、今回は開放されていなかったため、見ることができませんでした。

人気のカフェレストラン「一尺花園」

エモい書店を見たあとは園内を一通りプラプラし、最後のお目当ての場所「一尺花园 (一尺花園)」を訪問。同店の南京西路店は一度行ったことがありますが、この广富林店はレビューサイトでの評価も非常に高く、店内でユックリすることを非常に楽しみにしていました。

しかしながら、期待値が高かったこともあってか、やや期待外れの結果に終わりました。この店も朵云书院と同様に、古い建物をリノベーションした場所なのですが、イマイチ振り切れてないというか、細部へのこだわりが弱いように感じられ、せっかくのビンテージの建物を生かしきれていないという印象です。良い場所なのに、心が洗われないというか、崇高な気分にさせてくれません。

それはカフェよりも更に幅広い層の客がやってくる「カフェレストラン」という業態上、やむを得ず角が丸くなってしまっているのかもしれません。外から見た印象とは裏腹に内部は想像以上にかなり広く、それがゆえ、走り回っている子供も複数見受けられました。本館、別館、一階、二階、すべて雰囲気が違うので、一通り内部を見てから座る席を決めると良いでしょう。

本館の一階 (左) と本館二階 (右)

この店はユニークな雰囲気と、店オリジナルのビールを楽しみに訪問したわけですが、肝心のビールは夕方には売り切れており、予定していた食事もここではとらずにジュースだけを飲んで退席しました。その代わり、上海のクラフトビール「上海佘山精酿」とコラボレーションしてオープンした「一尺花园鲜酿工坊」に行ってみようと思いましたが、車で20分のまぁまぁの距離なので諦めました。。。

广富林文化遗址内、その他見どころなど

まず園内の正面入口から入ってすぐのところにインフォメーションセンターがあり、中にトイレあり、自動販売機あり、エアコンあり、座る椅子あり、なので、歩き回る際の拠点として利用し、英気を養うには絶好の場所です。

見学できる場所としては、いくつかお寺があります。唐の時代の三重塔「富林塔」、仏教の「知也禅寺」、道教の「三元宮」などが立ち並んでいますが、あからさまに新しく建てられた臭いがプンプンするため、特に興味を惹かれることなく素通り・・・

右奥にあるのが上海松江广富林希尔顿酒店 Hilton Guangfulin

あとはヒルトンホテル「上海松江广富林希尔顿酒店 Hilton Shanghai Songjiang Guangfulin」。ただ何もせずに湖面を眺めたり、プールでひたすら泳いだり、小さな動物園内でリャマと遊んだり・・・ することができるそうなので、興味がある方は泊まってみてください。知り合いがここで上げられた結婚式パーティーに参加していたので、そういったニーズはある程度あるようですね。

まとめ

この度、广富林文化遗址の園内にボクは実質4時間ほどしか滞在しなかったので、それほど多くを見て回ることはできませんでしたが、それでも行きたいと思っていたところは一通り見られて満喫できましたし、なかなか満足度の高いステイでした。真夏だったのでとにかく園内を歩くだけで辛かったんですけども、天候が快適な季節だったら一日ユックリしてもいいかな、と思えるような場所です。

何も期待せずに行くと想像以上に歴史が感じられますし、水辺の独特の景色は美しいですし、朵云书院でゆっくりお茶をするだけでも満足です。上海市内中心地からは少し距離がありますけども、気分転換するにはかえってちょうど良い距離なのではないでしょうか。

というわけで、暑くてどうしようもない真夏だけは極力避けてw、あなたも广富林を楽しんでみてください。

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