諸葛亮孔明の子孫が現在も住む、超ミステリアスな『諸葛八卦村』へ
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没後2000年近く経てもなお、三国志の天才軍師「諸葛亮孔明」の末裔が暮らしているという、「諸葛八卦村 (诸葛八卦村)」をこの度訪れました。
あの孔明の血を引く「諸葛姓だらけの村」と聞くだけでも心躍りますが、明·清時代から残された古い街並みと心温かい住民が旅行者を快く受け入れてくれ、とても印象深い旅になりました。今回はその訪問記をご紹介いたします。
※ 2022年に諸葛八卦村を再訪した際の様子はこちらの記事へ ※
諸葛亮孔明の末裔がひっそり暮らす「諸葛八卦村」とは?
この諸葛八卦村は、諸葛亮孔明の孫「諸葛京」の後裔であると称する一族が住む村で、孔明から数えて27代目の宗主である「諸葛大獅」が作った村だと言われています。今の人口は4000~5000人。その8割が諸葛姓を名乗っています。
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ここは諸葛一族の村らしく、諸葛亮が考案したという易の八卦 (八阵图) に従って設計された、八角形の独特の構造をしており、村の中は迷路のような造りになっているため、盗人が来ても決して出られないと言われているのです。
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村は元の時代から建設が始められ、明・清時代の古い建物が今も数多く残されています。ここの建造物は「徽式」というスタイルで建てられており、「白い壁」と「灰色の瓦」、そしてそこに取り付けられた「小さな窓」が特徴です。
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中国では国家4A级旅游景区 (国家AAAA級旅遊景区) 及び全国重点文物保护单位 (全国重点文物保護単位)、また、中国十大古村にも指定されており、重要な観光スポットとして認識されております。
諸葛八卦村、いったいどこにある?
蜀の劉備元徳に仕え、丞相として大活躍した諸葛亮孔明ですが、現代においてその子孫が数多く住む村は蜀 (四川省) ではなく、浙江省に位置しており、ご覧のように山に囲まれた自然溢れるのどかな場所です。
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村の具体的な場所は、浙江省兰溪市诸葛镇 (蘭谿市諸葛鎮) で、杭州から南西へ約170km (車で2時間半) の距離。ボクがその前日に滞在した金華市 (金华市) 中心からは北西へ約50km (車で1時間) です。
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ここに来る前から「外から見ても中に村があるとは思えない」「第二次大戦中にも日本軍が近くを通ったけども村は見つからなかった」などの逸話を聞いていたのですが、車で村への入口に到着しても、その幹線道路沿いからは中に村がある気配など全くありませんでした。
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不安をよそに・・・ 諸葛八卦村に、実際に入ってみる
幹線道路から道を1kmほど中へ入っていくと、村の駐車場に到着。村に入るためには、まずすぐ目の前のチケット売り場でチケットを購入 (入場料90元) します。ご覧のとおり、ザ・観光地!という雰囲気丸出しで、心躍りしま、せん。。(泣)
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チケットを購入してサービスセンター内にあるゲートを通過し、その先に待ち受けているトロリーに乗ると (片道10元)、やっと村の入口の目の前に辿り着けます。
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トロリーを降りた先には土産店やレストランがいくつかあります。もっと奥に入ってしまえば後でわかりますが、ここの店はどれもあまり風情がない ので、ここは軽く素通りしてどんどん村の奥へ入ってしまうのがベター。
諸葛家の祖廟「丞相祠堂」から村の中心「鐘池」へ
村に入ってまず最初に目にする池では住人が野菜や衣類を洗っていて、その周りはのどかな雰囲気の古い街並みが (控えめに) 広がっています。その池の横に待ち構える立派な建物が、諸葛家の祖廟である「丞相祠堂」です。
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敷地内の両脇に諸葛一族の彫像が並んでおり、一番奥の高台に諸葛亮孔明が鎮座しておられます。ボクの期待していた通り、「あの帽子」と「あの扇子」をお召しになっておられて、非常に嬉しく思いました。
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丞相祠堂を出た後は、村の中心にある「鐘池 (钟池)」を目指します。その道中は、どこを切り取っても絵になるうような、歴史ある美しい路地が続いており、各玄関先にはそこに住む人の名前や職業が書かれたプレートが掲げられており、「我こそが、諸葛亮の直属の子孫なり!」とアピールしているかのようです (肝心の写真は撮り忘れました・・・)。
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住居以外は土産物屋が多く、風情ある民宿もチラホラ目にしました。そうこうしているうちに「鐘池」に到着。この鐘池は “陰陽太極図” の形をしており、「森羅万象が陰と陽で成り立ち、それが永遠に繰り返す」ことを願って作られました。そして実際にこうして数百年も村が形を変えることなく継続しているのは驚きです。
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「大公堂」で諸葛亮の教えを学んだ後、道に迷う・・・
この鐘池に面して建てられている重要な建物のひとつが「大公堂」です。入口の「武」「忠」の二文字は、諸葛亮が劉備から封じられた「武郷候 (武乡侯)」の「武」、諸葛亮が死後に劉禅から封じられた「忠武侯」の「忠」からそれぞれとったと言われています。
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建物の中には孔明が子孫のために残した「誡子書」が大きく掲げられており、その教えて代々受け継がれているのだということを目の当たりにさせてくれるのです。
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孔明はこの誡子書の中で「勤勉勤労の大切さ」を説いており、「無欲になれば志が明確になる」ということを言っています。彼が没してから2000年近く年月が経過しているのにも関わらず、こうして現代のボクたちの心にも突き刺さる言葉を残せるのは、やはり孔明が孔明たるゆえんなのでしょう。
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その後、地図にあるオススメコースを辿ってもうひとつの池「上塘/下塘」へ向かいます。路地はどこもかなり複雑に入り組んでいるのですが、人が歩かない路地は草がボーボーに生えていたり、苔が表面に生えていていかにも「ここ通らないほうがいいですよ」的な雰囲気を出しているので、道に迷わないはずです。がしかし、まんまと道に迷ってしまい、まさに「路頭に迷う」状態でした。。
上塘近くで朝食後、漢方薬店の「寿春堂」でハーブティー購入
その後、現在地がいったいどこなのかも全くわからない状態でしばらく歩いていると、知らぬ間に目的地の「上塘」に到着していました。我々の脱出力には、さすがの孔明も真っ青ですね!?w
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それはさておき、ちょうど昼時だったので、上塘の脇にあったエアコンが効く清潔感あるレストランへ。壁には過去の訪問客の写真が多数飾られており、実は有名店!? 味は普通に美味しかったです。
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上塘・下塘の池の周りには、オシャレなカフェやバー、土産物屋などが点在していて、鐘池周辺よりも全然小洒落てて開放的です。村の中は狭い路地+古い建物+気候的要因で、どこもカビ臭い感じが否めないのですが、ここら一体は風通しもよく、非常に快適そうです。そういう意味でも、村の中に泊まるならこちら側エリアの方が良さそうですね。
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食後に少し歩くと下塘の脇に、漢方薬を売る薬局「寿春堂」を発見。諸葛一族は訓戒として「よき宰相にならずんば、よき医者になれ」と伝承されており、漢方薬で財を成し遂げたことでも有名です。そんな背景を知ってれば、ここで何か買わないわけにはいかぬまい・・・ということで、最近不調がちなノドに良いハーブティーを購入。わずか20元でしたが、スッキリ孔明効果に期待!です。
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この寿春堂は店内は薄暗い (村の中はどこも同様ですが) にも関わらず、中庭に差し込む光があったり、無料で血圧診断をしてくれる人がいたり、天井に鳥の巣があったりして、どこか温もりのある空間で心がとても癒やされました。
村に泊まるなら「文创基地梵客」がイチオシ
下塘から歩いてすぐのところに、この村には似つかわしくない、やや現代的&アーティスティックでセンス抜群の場所を発見。その名は「文创基地 梵客」。民宿がメインで中にカフェ、洋服屋、図書館スペース、バーなどもあって、是非一度泊まってみたいと思わせるステキなところです。
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ネットや微信 (Wechat) でも調べてみましたが、めぼしい情報が見つけられず・・・ そもそも外国人が泊まれるか謎ですが (見るからに外国人もターゲットにしているようにですが)、次回があるなら、次はここに泊まって村をもっとゆっくり見てみたいものです。
まとめ
諸葛亮孔明の末裔である諸葛一族が住む「諸葛八卦村」は今回の旅の一番の目的でしたが、その期待を裏切ることなく、旅のハイライトとなりました。
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最初、村に入るだけで入場料がとられるし、入口からはトロリーで移動するし、これだとまるでテーマパークやな、、、とかなり不安になりましたが、中に入ってみるとそんな不安もかき消され、6月の高気温&湿気で汗びしゃになりつつも、非常に有意義な時間を過ごすことができました。
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こうやって記事を書いて始めてわかったこともたくさんあるので、次は歩き回っても苦ではない季節 (春か秋~冬) に再訪したいな、と思った次第です。その前に四川省に点在する三国志関連スポットや、赤壁なかを見に行きたいですけども、ここ諸葛八卦村も見逃すことができない場所なので、是非とも訪問してください!
※ 2022年に諸葛八卦村を再訪した際の様子はこちらの記事へ ※
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